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この森を通り抜ければ ~いわて銀河100kmチャレンジ・完結編~

2011_0613いわて銀河0201
豊沢湖を過ぎると「なめとこ山」が見えてきた。

なめとこ山の熊のことならおもしろい。
なめとこ山は大きな山だ。淵沢川はなめとこ山から出て来る。
なめとこ山は一年のうち大ていの日は 冷たい霧か雲かを吸ったり吐いたりしている。
まはりもみんな青黒いなまこや海坊主のやうな山だ。
山のなかごろに大きな洞穴ががらんとあいてゐる。
そこから淵沢川がいきなり三百尺くらゐの滝になってひのきやいたやのしげみの中を
ごうと落ちてくる。
宮沢賢治 『なめとこ山の熊』


熊撃ちの小十郎は大変貧しく、
家族を養うためにほかに方法がなくて仕方なく熊を打っていたが、
申し訳ない気持ちがいっぱいであまり好きではなかった。
熊はそんな小十郎に心を通わせ、小十郎も熊の言葉さえわかる気がした。
そこで熊との不思議な物語が始まる。
最後は不意打ちで熊を打ち損じ、襲われて声を聞く。お前を殺すつもりはなかった、と。
小十郎は青い火を見て死を悟り、熊ども許せとつぶやく。
三日後、小十郎の為に数多くの熊が集い、
盛大な弔いが行われている場面で物語が終わる。

『注文の多い料理店』と共通するところがあるね。

このあたりからちょっと下った後、5キロの急な上りが待っている。





やっとかぶり水を見つけた。思う存分頭からかぶった。
肩のあたりまでびしょびしょ。
朝からずっと水をかぶっているので、自慢のキューティクルが心配なほどだ。
2011_0613いわて銀河0203
 
もちろん飲んだ。
木の葉が、浮いていた・・・。

そしてこのコースの最高標高の57.5キロ地点まで、ひたすら登る。
2011_0613いわて銀河0204 
標高は上がっているのだけど、やっぱり日差しは強く、暑い。

歩いてる人がほとんどだ。
2011_0613いわて銀河0207 
なんで写真だと傾斜が感じられないんだろうね。

おっ、足跡が!コレ、熊だよね。
和田○キ子の足あとじゃないよね?
どうすればいいんだっけ?
2011_0613いわて銀河0209 
ずいぶんシャレが効いてるペイントだ。
と、言いつつも無意識に通り過ぎるトコだった。
あわてて振り返って撮ったよ。

疲れてきたのね・・・。

5キロただ歩いてるのも時間がもったいないので、早歩き。
所々、百メートル位だけ走ってしばらく歩く。その繰り返しもしてみる。
2011_0613いわて銀河0210 
実際、ゆっくりだったら走れないことはなかったんだよね。
奥武蔵に比べれば、大したことは無い。

ただ、まだこれから50キロ弱の距離が残っている。
ここで足を使ったら、最後まで持たないだろう。
どれだけ余力を残してここを乗り越えるか。
2011_0613いわて銀河0212 
最初のトンネルは700mくらいだった。

振り返って下を撮った。
この方が傾斜感が出るのね。
2011_0613いわて銀河0213 
走って歩いてのペースで進む。

2つ目はやや長くて、ちょっと明るい。
空気はひんやりしている。
トンネル内は反射材のついたコーンが置いてあって走路は確保されていた。
緩やかになってきたのと、気温が下がったのでゆっくりと走り続ける。
55キロ地点。上りは残り2.5キロだ!
2011_0613いわて銀河0214 
ただ暗いとスピード感がなく走りづらい。実際歩いている人が多かった。

そして三つ目のトンネルはとても長く、ほとんど真っ暗。
約2キロあるようだ。 
2011_0613いわて銀河0215 
なんか夢の中を走ってるみたい。周りは何も見えない。
わずかな明かりと、前の人のナンバーカードに張ってある反射シールが目印。
足元に何か置いてあったら間違いなくつまずいて転ぶな 。
車が近づくと、反響する爆音。すごいよ、コレ。余りの音の大きさにビビります。
どんな車両だと思ったら軽自動車だったり。

2キロだから、15分弱くらいかな。
トンネルの中はとても涼しく、まだ上りなので歩いている人は多かったが、
オレは必死に走る。
この涼しい間にちょっとでも走っとかないと、
これから外に出て気温が上がった時走れなくなる。
今のうち、今のうち。

もちろんビニールをかぶんなきゃならない程は寒くない。
むしろこの涼しさがとてもありがたかった・・・。
天然のクーラーエイド。それも2キロも。
上りで火照っていった身体も十分冷やすことが出来た。

そして長い長いトンネルを抜けると、
2011_0613いわて銀河0220 
暑い・・・。でもちょっとホッとする。
すぐ見えてるのが57.5kmのエイド。

ここからは急な下りが続く。
だいぶ時間が経ったような気がするが、7時間くらいなのでまだ午前中。
2011_0613いわて銀河0221 
下り坂だけど、強めの向かい風。
暑さが和らぐし、向かい風だからブレーキかけてくれるし、ツイてるぞ。

下りはご褒美だと思って、走った。
ただしゆっくり、小さく刻みながら。飛ばすと、すぐ足にくるからね。
2011_0613いわて銀河0224 
なるべくブレーキを掛けないように、でもスピードが出ないように。
歩幅は小さく、力を入れず。

よしおくんも言ってたけど、トンネルの向こう側はあんな立派な道だったのに
こっち側はどんどん狭くなる。
なんだろう、この差は。同じ道なのに。
2011_0613いわて銀河0225 
政治家の影響力?

また、例のランナーが後ろから声を掛けられた。
どこで抜かしたのだろう?
「トンネルの中、ずっと走ってたでしょう?すごいね~。
しかも下りも走ってるじゃない、下り苦手な人って多いんだよね。
これで今まで完走してないなんて、信じられないよ。ベテランの走りだよ。」

うん、もっと褒めて・・・。
2011_0613いわて銀河0226 
「この時間でここまで来たら完走は余裕でしょう?
だいぶ歩いても時間内にゴール出来るよ。」

なんというありがたいお言葉。ますますその気になっていく。
完走できるなら、ここでリタイヤしたって、いい。
2011_0613いわて銀河0228 

ベテランランナーが先行した後、下りは徐々になだらかになっていった。
間もなく街にでるはずだ。
66.5キロ、荷物も受け取れるスペシャルエイドも近い。
2011_0613いわて銀河0229 
・・・ハズなんだけど。まだこの景色。

そして久しぶりに集落に出た。何時間振りだろう。
ここで右折し県道1号線に出て、北上する。

そこで、とうとう異変が起きた。
2011_0613いわて銀河0230 
すぐ気づいたんだよね。
あ、暑い・・・。

右折したのでどうやら追い風になったらしい。旗のはためく方向で分かった。
追い風、体感的には無風・・・。
時刻は12:30くらい。日差しは相変わらず強い。

途端にペースダウン。

いままで日差しが強くても風で救われてた部分があったんだよね。

下り坂が終わったこともあり、距離的にも足にきているのか、
急に苦しくなり、ついに平地でも歩きだした。

ただ、すぐ66.5キロのスペシャルエイドに到着。
スタートから8時間半が経過。
遠くからナンバーを確認する係員が居て、エイドに着くと荷物がすでに用意されていた。
うん、素晴らしい。
2011_0613いわて銀河0235 
ただ、暑い。ここで休めばなんとかなるかも。
でも何か食わなければ。

このアスパラがみずみずしくってうまかった。
2011_0613いわて銀河0233 

マヨネーズ付きなのです。ほれっ。
2011_0613いわて銀河0232 

そして、また例のビール。
もちろんこの時点でもノンアルコールだとは、気づいていない。
でも写真にはっきりとAlc.0.00%って写ってるし。
2011_0613いわて銀河0234 
もう~、飲んだ。グビグビっと。 旨い!
もうやっちまった感なんて、なかった。
ここでビールを飲むのが、世の中の常識と疑わなかった。
鉛温泉エイドで飲んだ時も平気だったし。
まぁ、そりゃそうだよね、ノンアルコールなんだから。

預けた荷物からウエストバックに補充するものを取り出す。
やっと塩サプリも補充出来た。
アート鈴木さんから教わったスペシャルドリンクを作って飲む。
プロテインとカーボショッツなどなど。

ここで助かったのが、ペットボトルの冷たい水だ。
前日、急きょ思いついてホテルの冷蔵庫で水のペットボトルを凍らしておいた。
それに着替え用のTシャツやタオルなどををぐるぐる巻いて預けていおいたのだ。
程よく溶けて、ちょうどいい。

半分くらい飲み、ペットボトルを少し潰してウエストバックに無理やり押し込む。
これで途中空になったら補給し、いつでも飲める。

さてあまり時間がない。
自分の予定で15分貯金があったけど、この先どうなるか・・・。
早々に、座ったりもせず、スペシャルエイドを出発した。

ここから8キロくらい緩い上り。
走りだした。
が、すぐ歩いてしまう。

とても暑い。風は相変わらず追い風。つまり体感的には無風。
顔から汗が吹き出すが、サングラスを外すのがおっくなのでそのまま。
汗で前が見えなくなるほど。
そういえば、さっきのエイドで水かぶるの忘れてたな。

この大会、ここからが非常につらかった。
一番日差しが強くなる時間帯で、暑くて、緩い上りで、約70キロ分の疲れが出てる。 
0626_001-2.jpg  
 
これじゃヤバいと思って走り出すも、すぐ歩き。
それをなんとか繰り返し、振り絞るように進む。

途中、どっかの道の駅で観光客のお姉さんが元気に応援してくれてたが、
オレの顔を見て声が小さくなったほど。
サングラスしてたけどよほど苦しそうな顔をしてたんだろう、お姉さんごめんね。
そこの自販機でデカビタを買い、飲む。

そんな感じでなんとか次のエイド、73.3キロ地点までたどり着いた。
レモンをやたら頬張り、元気よくエイドを出ていってみる。

だけど、無理・・・。

ここから県道1号を左折し、細い農道に入っていく。
暑すぎる。もう全く足が動かなかった。

諦めなければ夢はかなう、って言うけど、オレは完全にあきらめた。
やっぱりオレにはウルトラは無理だ。

もうウルトラを挑戦するのは止めよう。
友達に報告するのは恥ずかしいけど、仕方ない。
そういう男なのだ。
思いっきり、言い訳しよう。

そもそもそんな根性も無いし、チャレンジする資格もなかったんだ。
いいかげん目が覚めて良かったんじゃないか。

情けない姿で、とぼとぼ歩いた。
次の関門は86.3キロ地点。10キロ以上も先にある。

どこでリタイヤしようか・・・。

収容バスが止まっている気配はない。
この大会のスポンサーが運転代行社でそのタクシーのような車が
時折通り過ぎていく。

あれでリタイヤしたランナーを拾ってるんだな。
今度来たら、乗っけてもらおう。

だがなかなか来ない。

歩きながら今の時間を確認した。
もうガーミンすら見ていなかったんだ。
次の関門まで歩いたら一体どれくらいかかるんだろう。

あれ?関門時間まで思ったより余裕がある。
予定は73.3キロ以降キロ9分で進んで、時間ギリギリゴールできる計算をしていた。
関門時間もそれに近い時間設定だ。

早歩きをしてみた。
走れないけど、早く歩く事ができるのは驚きだった。
使う筋肉が違うのか。
もちろんまるで走ってるかのように、息はぜいぜいと身悶えるほど苦しい。

ガーミンで計ると、速さはやや下り坂でキロ8分40秒。
やや上りでキロ9分30秒。

ん?もしかして歩いても何とかゴール出来るんじゃないか・・・。

コースは80キロから3キロばかり急な下り坂なのだ。
その後は緩やかな下り坂が10キロくらい続く。

要は少し走れることができれば、あとは歩いたってゴール出来るかもしれない。
まだわずかだが可能性は、ある。
必死に歩いた。気分は競歩の山崎選手だ。
諦めないで良かった。イヤ完全に諦めてたな・・・。

そしてその時、
風向きが追い風から横風に変わる。
ふと空を見上げると、雲が出てきて太陽が隠れた。

そして程なく、80キロ地点を過ぎる。

そこはかなりの急な下り坂だった。
もう余力を残す必要はない。走れるだけ走ろう。
ゆっくり歩けるだけの時間的余裕を作るんだ。

風が体温を下げ、日差しはもう強くないので暑くなることはない。
動かなかった足は、下り坂の力を借りて動き出す。
2011_0613いわて銀河0231 
3キロの急坂が終わっても、ゆっくりだけど走り続けた。
この先何があるかわからない。
なんせ、すでに11時間弱、動き続けているのだ。

本当に何が起こるかわからない。

この足を動かし続けている力は、「予感」だ。
ゴールできるかもという、小さな予感。
かすかな兆し。

まだ予断は許さない距離が残っている。
本当のところ、ゴールできるかどうかなんて誰にも分からない。

でもこの「予感」さえあれば、
どんなに辛くても 、どんなに苦しくても
ゆっくりとだけど、前に進むことができるんだ。

例えば、全てを失って
例えば、悲しみに暮れていて
例えば、先は見えなくたって
例えば、今はどん底だって
 「予感」さえ、感じることができれば。

このすばらしい、美しい、岩手という場所で、ボロボロの身体で感じた。

とりあえず。

とりあえず、だ。

この目の前の山を越えれば。この森を通り抜ければ。

そんな小さな小さな、予感。

以前ランナーズで、
あるサブスリーの外科医が半身麻痺になってリハビリに奮闘する手記が掲載されていた。
そして麻痺のまま、よろけながらも短い距離であるがレースを完走し、
しかし立っても居られず、思い通りにならない身体に落胆しながらも
最後にこう言うのである。

「私は幸せになれるかもしれない。」

深い闇の中ではるか遠くに見えるかすかな光。

なんて素敵な言葉だろうと思った。

途中私設エイドでコーラをもらう。しかも冷えている。
「命のコーラだ!ありがとう!」
そう言うと、この方々は照れて笑っていた。
2011_0613いわて銀河0236 
決して大げさに言ったわけじゃないんだけど。

そしてまた走り出す。
もちろん下り坂だけど早いところでキロ6分のスピードが出た。

「動けば変わる」
今回の参加名簿の中、あるランナーのコメント欄に書いてあった言葉だ。
走ること、だけの話ではないのだろう。

結局10キロ余り走り続けることが出来て、何人ものランナーを抜かした。

途中爪をやられたと言って片足を引きずっていた若者に
バンドエイドとテーピングシールを渡したけど、
あのランナーは完走することができたのだろうか。

ランナーごとに、それぞれのストーリーがある。

そして12時間が経過し、90.2キロ地点のスペシャルエイドに到着した。
2011_0613いわて銀河0237 
制限時間まであと2時間。残りは10キロ。このエイドに着いた時、緊張が緩んだ。

おしるこをもらう。もちが入っていた!
2011_0613いわて銀河0238 
つくばマラソンのお汁粉を想像していたので、もちが入っていてビックリ。
この甘さが体の隅々まで染み渡る。 うまい。

ラスクも有名なんだって。
うん、うまい。パサつくけど。
2011_0613いわて銀河0239 
ここであるランナーがボランティアのおばちゃんに話しかけていた。
「私、○○から来たのよ。岩手の人を応援しようと思って。」
素晴らしいと思った。

だけど、オレは情けないほど力不足だ。
彼らの痛みや悲しみを理解することは出来ない。

でも喜びや楽しさは共有することが出来るんじゃないか。
相手が喜んだり、楽しいと感じたりする気持ちは一緒だ。

「おばちゃん、このラスク旨いよ!ねぇ結婚して!」
「いいよ!でもコレ私が作ったんじゃないのよ。」
「なら、いいや。」
久々に大笑いした。

調子に乗って、ここに応援団として居たニューバランスの方々と記念撮影。
2011_0613いわて銀河0240 
「ねぇ、女子ばっかりなの?オレどっちかって言うと男子が好みなんだけど。」
声をそろえて、みなさん。「え~っ!」

こんなことばかり言っていると、本当だと思われる・・・。

さて、残り10キロ。雫石はもうすぐだ!
ただ当然のごとく、足は限界に来ていた。

歩いて、走って、歩いて、歩いて・・・。

そして目の前の風景にビックリする。
ひぇ~っ。何?まだこんな坂あったんだ!
2011_0613いわて銀河0243 
高低図にはこんなに激しく上ってなかったけど・・・。

歩くしか出来ない。
2011_0613いわて銀河0244 
皆同じだけどね。

そんなに距離はなかったけど、きつかった。
2011_0613いわて銀河0245 
驚かすなよ、もう。

田園風景が広がる。
2011_0613いわて銀河0246 
もうすっかり夕方だ。さっきまで朝だったのに。

あと5キロ。予感は現実となるだろう。
2011_0613いわて銀河0250 
でもあと5キロが、長い・・・。
95キロ走ってきたんだけどね。

岩手山が見える。山頂は雲がかかってるけど。
宮沢賢治が愛した岩手山だ。
2011_0613いわて銀河0251 
以前、盛岡の小岩井牧場からみた岩手山が綺麗だったのを思えている。

最後の95.3キロのエイドで、念のため係員の方に確認した。
「そう、あれが岩手山です。」
「あれが見たくてここまで走ってきたんですよ。」
「そうなんですか、○○さん。埼玉からはるばる来ていただいてありがとうございます!」
パッと、オレのナンバーを参加者名簿で調べて、名前を呼んでくれた。

うれしいね、やはり東北の人は暖かい。

ちょっと苗字の読み方、間違えてるけど・・・。

残り3キロ。時間にしてあと30分もかからずに終わる。
おそらく13時間半は切れるタイムだ。
2011_0613いわて銀河0256 
もうすぐ、終わってしまう。

すぐ横を収容バスが通った。中からこっちを見ている。
つい最近まで向こうにいた。
それは決して無駄なんかじゃなかった。
2011_0613いわて銀河0257 
リタイヤしたランナーもベストを尽くした結果だからね、お疲れ様でした。

そして下り坂を走って通り過ぎ、橋を渡る。
2011_0613いわて銀河0261  
なんだか、やけに静かだ。

自分の呼吸音と川のせせらぎしか聞こえない。
2011_0613いわて銀河0259 
ここからはサングラスをはずして、走る。 こんな色をしてたのか。
なんか贅沢だな。

あと2キロ。
2011_0613いわて銀河0263 
でもはるか先に上り坂があるように見えるけど。

やっぱりあるのか・・・。
2011_0613いわて銀河0265 
でも思いがけないエイドもあるね。 パンフに載ってなかった。
ここでは冷えたコーラをもらった。

いやぁ、旨い~。
「今のオレほどうまそうにコーラを飲めるやつはいないね。CM出来るかな?」
「お兄さん色男だから、きっと出来るよ。」 
0626_002-2.jpg  
ここでも大笑いする。

そして最後の300mの坂を歩いて、上る。
2011_0613いわて銀河0266 
そして雫石の住宅街を走った。

住民の方々が所々で応援してくれるし、道路を渡る時に交通整理の警官ももれなく
声をかけてくれた。これは、 とてもうれしい。

雫石総合運動公園が見えてきた。
2011_0613いわて銀河0270  
あともう少しだ!

思わぬところに坂がある。
「これが正真正銘、最後の坂だよ!」

そんな声に笑った。
2011_0613いわて銀河0274 
ここでハッとする。

ガーミンを見ると13時間半まであとわずかだ。
コーラ飲んでゆっくりしすぎたな。
2011_0613いわて銀河0275 
トラックに入ってペースを上げる。

すでに100キロ弱走ってきたので、尋常じゃない苦しさ。
2011_0613いわて銀河0281 
しかもゴールはトラック内ではないのだ!なんて思わせぶりな。
まるで悪い女のようだ。

嫌いじゃないけど。

トラックを出て体育館を目指す。
2011_0613いわて銀河0285 
だんだんにぎやかになってくる。

そして見えてきた。
2011_0613いわて銀河0286 
今までの全ての苦しみは、すでに喜びに変わっていた。
とても自然に。

おおっ。
2011_0613いわて銀河0291 
マイクでオレの名前を呼んでくれる。
「満面の笑みで、○○さんもうすぐゴールです!」

これはうれしいね。
苗字の読み方が間違っているが。
2011_0613いわて銀河0292  
なぜか皆、こっちを見てる。オーバーアクションだったからかな?

13時間29分28秒の旅が終わった。
0626_003-2.jpg 
このポーズ、もちろん来年の大会パンフの表紙を狙っている・・・。

いやぁ、4度目の挑戦でやっと完走できたよ、やれやれ。
コースのほうを振り返ると次々とランナーが帰ってくる。
2011_0613いわて銀河0293  
本当に、たくさんの人がオレの目を見て声をかけてくれた。
「おめでとう!」
完走っていいもんだね。

十数時間ぶりに腰を下ろすと、足がつりそうになる。
でも周りを見回すと、みんな同じポーズだ。

ここでも例のビールをもらった。
水飲む前にビール飲んでいいのか?大丈夫か?

・・・と、飲み干した缶を前に思った。 
2011_0613いわて銀河0297 
完走メダルは南部鉄器で出来ている。
決してオレオでは、ない。

シャッターをボランティアの女子高生に押してもらっった。
2011_0613いわて銀河0296 
「あれ~っ、おかしいな。小栗旬が写ってるよ!」
女子高生、苦笑・・・。

ハイ、オヤジです。

体育館前に足のクールダウン用に小さなプールもある。
至れり尽くせりだ。

体育館に入り、荷物を受け取る。
そしたらこのおじちゃんが言う。
「完走おめでとう。荷物どこに持っていく?」
2011_0613いわて銀河0298 
体育館の好みの場所まで持って行ってくれた。
足がうまく動かないので大助かりだ!
「気持ちは良く分かるからね。」
おそらくランナーなのだろう、お礼を言った。

シャワーはあるが、浴びなかった。
動かない身体でどれくらい時間がかかるかわからなかったからだ。

着替えて外に出る。
2011_0613いわて銀河0299 
結構な賑わいだ。
明るいうちにゴール出来るって、こういう楽しみが出来るからいいね。
寒くないし。

参加者にはこういうクーポンがもらえて、ビールを飲みながら色々食べることが出来る。
うれしいサービスだ。
2011_0613いわて銀河0300 
ただ持ち帰りは出来ないらしく、並んでることもありまったく食べなかった。
ただ早くホテルで横になりたい。

盛岡行きの送迎バスに乗る。
この大会はとても細かくバスが用意してあって、北上にだって戻れるし、
鶯宿温泉への往復バスも出ていて、日帰り温泉をタダで楽しむこともできる。

席が空いているところに座らせてもらった。
隣の人と話し始めると、なんか聞いたことのある話題だ。
それもつい最近・・・。

「あれ?ひょっとして豊沢ダムの前から並走して
やたらと褒めてくれた方じゃないっすか?」

お互い私服になるとわからない。こっちはずっとサングラスしてたし。

なんという偶然。バスでも隣同士になるなんて。
でもこれがかわいい女の子だったら・・・。
最近、よく耳にするフレーズだ。

この方大阪から来ていて、ウルトラ50回目の完走だそうだ。
リタイヤは22回。
77回走ってるのね、すごい!

盛岡まで40分。
皆ぐたっとしてる中、なぜか盛り上がる2人。
今回のレースの状況だとか、その時の感情だとか、すぐ話せるって楽しいね。
あの時暑かったねーなんて。
全国のウルトラに出てるらしく、あの大会、この大会と質問攻めにしてました。

この方、奥武蔵でグリーンナンバー(10回完走)らしいが
今年油断してたらエントリー出来ずびっくりしたとの事。

オレも、よしおくんもそうなんですけど・・・。
ウルトラにもブームが来ているようです。

やがて盛岡駅に着き、大阪のランナーともお別れ。
私は足が動かないことを見越して、駅ビルのホテルを奮発しました。

もちろんあまり食欲もなく、でもなんか食べておいたほうがいい。
用意しておいたプロテイン、エネルギージェル、
コンビニでパスタとオレンジジュースとアイス。

アイスが食いたかった。

シャワーを浴び、応援メールをくれた友人たちに報告。
返事が来た。

「ホッとしたよ。」

・・・すいません、出来の悪いランナーで。

さて寝ようと思ったが、眠れない。
足がジンジンする。
持ってきておいた湿布をベタベタ張っているんだけどね。

それより神経が高ぶっている。
何かが出てたな、身体に。アドレナリンのようなものか?

結局寝付いたのが2時前。24時間起きてたのか。
6時過ぎに目が覚めてしまったので4時間ちょっとくらいしか眠れなかった。
朝食をとり、よしおくんとの約束が11時半なので
それまで駅ビルにお土産を買いに行った。
2011_0613いわて銀河0301 
ここには大体のものがそろっている。

いろいろ買い込んで、最後に南部せんべいのお店に寄った。
ここで品定めしていると、お店のお姉さんに話しかけられる。
なんか妙に明るくて、とても楽しそうで、笑顔なのだ。

お世辞でもかわいいとは言えない。けど、とても可愛らしいと思った。

話しかけられれば、いつものようにくだらないこと言って笑わせられる自信はあるんだけど、
この時はなんか恥ずかしくなって、顔が赤くなりドギマギしてしまう。

中学生じゃないんだから・・・・。

無防備だったんだろうか。 もう昨日全て使い果たして、真っさらだったんだろうな。
こんなこともあるんだ、なんか面白い。

結局、大目に南部せんべいを買ってしまった。

「昨日マラソン走られたんですか?」
店を出る前にこう言われた。
もうすでにランナーがお土産を買って帰って行ったのだろう。
分かる?と聞くとお姉さんはこう言った。

「なんか今にも走り出しそうな感じですもん。」
もう、走りだして君の胸に顔をうずめるぞ・・・。

よしお君との待ち合わせの場所まで、盛岡駅前の地下道を通って
階段を登らなければならない。
やっとの思いで階段を上っていると、その姿を見たよしお君に笑われた。
さすがベテランランナー、ウルトラの翌日でも平気で歩いている。

さて、そのよしお君の案内で「ぴょんぴょん舎」へ。
2011_0613いわて銀河0307 
今日は、昨日より日差しも強く、かなり暑い。
これが昨日だったらとてもじゃないが走りきれなかっただろう。

そんな気温なのでビールもうまい!まだ昼だし!クゥ~ッ。
皆働いてる時間に飲む、罪悪感。
2011_0613いわて銀河0303 
・・・は、これっぽっちも無い。

昨日の大会の事で盛り上がった。
2011_0613いわて銀河0304 
そういや焼肉も久しぶり。これがうまいのなんの。

締めに冷麺。この店はこれが有名らしい。
2011_0613いわて銀河0306 
あんなに肉や野菜を食ったのに、レギュラーサイズをつるっと完食。
いやぁ本当にうまかった!!一晩寝ると胃も回復したみたいだね。
ご馳走様でした。

盛岡駅から東北新幹線、はやてで帰る。大宮まで3時間。
2011_0613いわて銀河0309   
酔っぱらっていたのですぐウトウト。
目を覚ますと仙台、次に目をさますと小山。
そんな感じであっという間に到着。とても快適。 この大会はアクセスがいいね。 


・・・ねぇ、おやっさん、
なんだかね、あっという間の3日間だったんだよ。
チャレンジ富士五湖の2週間前に腰を痛めた時、
偶然ジョグノートのニュース欄で見つけたんだよね、この大会。

あの時腰を痛めたのも、こっちの大会に出ろって事だったのかもしれないね。

全ての出来事には意味がある。

うん、今の岩手を走ることが出来て良かった。

あ~っ、ちょっと飲みすぎたな。
最近酒弱くなってさ、なんだろうねぇ。
昔はかなり飲んでも翌朝シャキッとしてたんだけど、今はグダグダだよ~。
なんだかフラフラする・・・。

良く一緒に飲む友達に聞いたらさぁ、酔っぱらうと同じこと何回も話すらしいんだよ。
本当かなぁ、覚えてないんだよな、それが。
でも本当にそうなってたら、相当やばいよねぇ。
ありえないよぉ、そんなこと~。

あ~、今日は酔っぱらったな。飲みすぎたかなぁ。

あっ、そうそう、おやっさん~。
オレさぁ、マラソンやってるって言ってたじゃない~?

・・・ヒック。

いやぁこの間、岩手に行ってさぁ走ってきたんだよぉ。

そう、”いわて銀河100kmチャレンジ”を走ってきたんだ・・・。



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さぶろう | URL | 2011.06.28 19:38
いやー 今回もジミーさんの世界観満載、
引き込まれるレポでした。

写真も、苦しさや喜びが伝わってきて、グッときました。

途中あきらめずによかったですね。
「予感」ですよね。よくわかる~。
私も富士五湖では同じ状況で、予感が
希望に、希望が確信に変わった時、
自分に感動しました。

ジミーさんのレポ読んで、やはりまた
ウルトラ走りたくなりました。
また今度話聞かせてください!
ジミー | URL | 2011.06.28 22:31
さぶろうさん、
ウルトラ完走の話で酒が飲めるってやり取りがヒントで
おやっさんっとの会話形式になりました。

いやぁ、走ってて本当に楽しかった。

これには書いてないですが、
ほかのランナーとのやり取りもあったんです。
ウルトラは人が楽しい。

やっぱりこれが始まりのようです(笑)。
よしおくん | URL | 2011.06.30 09:28
「あんたはえらい。」
私なんか走る?歩くだけで精一杯なのに、こんなに数多く写真を撮りながらの完走は、よほどの力がないと出来ない芸当ですよ。頭が下がります。
思い出しますね。暑くて大変でしたが、今思い出すと楽しかったですね。今度は「秋田内陸」へもどうぞ。こちらは沿道の声援がすごいですよ。
ジミー | URL | 2011.06.30 23:48
よしおくん、
この大会、何から何まで大変お世話になりました!
1人寂しくと思ってたら、とても楽しい大会となりました。

「秋田内陸」興味シンシンです。
ただ夏のトレーニングと13時間という制限時間という問題を
乗り越えなければならないですね。

でも夢は膨らむばかりです。
走ってて、よかった!
ドタバタ | URL | 2011.07.06 09:29
ジミーさん、
ナイスファイトでした!

感動して涙が出ちゃったよ。

やっぱりウルトラは違うよねー!
ジミー | URL | 2011.07.07 23:42
ドタバタさん、
ありがとうございます。
やっと完走することが出来ました。
ドタバタさんもサロマリベンジ成功ですね!
っていうか、もうウルトラは余裕でしょう?(笑)
かみ | URL | 2011.07.27 16:02
ウルトラ完走おめでとうございます!
コメ遅くなっちゃったな。
読んでて感涙しちゃいましたよ。
力もらったー。
私は9月京丹後の60kに挑戦するんだー。

ぴょんぴょん舎の冷麺好きで、よく買ってつくるけどこういうお店なんですねえ。
本物食べてみたいなあ。
60k完走できたら、来年挑戦しちゃおうかな。
岩手も賢治も大好き!
ジミー | URL | 2011.07.28 09:14
かみちゃん、元気???

コメントありがとう!
丹後60k走るんだね、暑そう!
がんばれ!君なら制限時間さえ確認すれば大丈夫(笑)
途中辛くなる時があると思いますが、情熱で乗り切ってください。

あのね、いわては少々過酷だけど人があたたかくておすすめです。
富士五湖が1とすると、いわては5くらい人間が暖かい。
くびきのは10だけどね・・・。

来年、案内しますよ~。

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プロフィール

ジミー

Author:ジミー
走っても痩せない。なぜならば食って、飲んでるから。


【自己ベスト】
2009年 第12回荒川市民マラソン   3時間55分
2009年 第10回谷川真理ハーフマラソン 1時間46分
2011年 第7回いわて銀河100Kmチャレンジ 13時間29分

【初レース】
2005年かすみがうら10マイル
【初フルマラソン】
2006年 第9回荒川市民マラソン    6時間10分

【東京マラソン】
第1回だけ当選しました。土砂降りのこの大会記録は6時間46分
あと14分遅ければ都知事と握手してテレビに写ったのに。
膝が痛くてそんな余裕ありませんでした。

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